ピースホームは第1種換気が標準仕様
前号と前々号では、断熱についてお話しましたが、今回は換気のお話です。
日本は元々、湿度が高く家の風通しを気にします。前号の勝手口の通風ドアが日本では人気なのはそのあたりにあります。
1993年の省エネ法の改正を契機に冷暖房効率などもあり、気密住宅が普及し始めます。そのころまで、建築部材の接着材などの規制がなかったので、気密性が高まったことによりシックハウスが問題になります。シックハウス症候群は、ホルムアルデヒドなどの化学物質などのよる室内の空気汚染だけでなく、湿度が高いことで発生する細菌、カビ、ダニの繁殖が原因にもなると定義されています。
そこで、2003年の建築基準法改正で、24時間換気システムが設置義務となります。
ここで、ことばの確認です。24時間換気システムで換気と書いてありますが、通風ドアから入る風は換気なのでしょうか? 住宅の「風」には、次の3つを分けて考える方がよいです。「風通し」、「すきま風(漏気)」、「換気」です。通風ドアや窓から入ってくる風は、「風通し」です。すきま風も文字通りで、住宅の隙間から出入りする風です。冷暖房効率を悪くするのがこのすきま風です。では、「換気」ですが、人の呼吸と同じで、汚れた空気を排出し、新鮮な空気を給気することをいいます。24時間換気システムでいう換気はこれにあたり、1時間で0.5回、居室の空気が入れ替わることを義務付けています。先ほどの「風通し」だけでこれを実現することはなかなか難しいです。
換気方法には、1種から4種まであります。
- 第1種 給気側も排気側もともに機械を用いた方法
- 第2種 給気側だけ機械を設置し、排気側は排気口を設け自然にまかせる方法
- 第3種 排気側だけ機械を設置し、給気側は給気口を設け自然にまかせる方法
- 第4種 給気・排気側ともに機械を設置せず、排気口と給気口の取り付け位置を工夫し温度差や気圧差などで換気する方法
一般的に住宅では、第1種換気か第3種換気が採用されます。
第3種は、住む方の意識に左右されてしまう点がやはり問題です。寒むかったり、風が強かったりするとどうしても、給気口を閉めてしまわれる方もいらっしゃいます。また、給気口のメンテナンスも忘れがちで、ほこりが溜まったり、鳥が巣をつくることもあります。そもそも気密がある程度取れていない(C値=1.0以下)と換気量が確保できず、計画通りに給気されていないこともあります。
ピースホームでは住む方の裁量に左右されない第1種の標準化を2013年に検討を始め、2014年から熱交換も実装したダクト式熱交換気システムを標準仕様にしました。
現在ピースホームでは、パナソニック社の熱交換気システムを採用しています。
https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/24h/index.html
熱交換気システムのメリットは、「家が長持ち」、「快適に暮らせる」、「健康に暮らせる」という点です。
出典:パナソニック
https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/kodatekicho/netuko_01.html
熱交換気は、上図のように、排気のときに汚れた空気と一緒に今までは捨てていた熱を給気時に回収して室内に戻すことができます。熱回収することにより、空調機器(エアコン)の負荷を軽減することができ、冷暖房コストを抑えます。
さらに熱交換気システムには、超微粒子用の高性能フィルターを備えており、外気のPM2.5などの大気汚染物質を捕集し、キレイにして給気します。
参考:https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/air-tect/index.html
いずれにしても、熱交換気システムを仕様通りに機能させるには、やはり住宅の気密性が重要です。すきま風(漏気)があるような住宅の気密性能では、意味のないコスト高のシステムになります。