玄関ドアの断熱性能は忘れがちですが快適性には重要です。

前号では、窓のお話しをしましたが。いわゆる開口部の断熱性能は住空間の快適さを大きく左右することが分かっていただけたと思います。

そこで、今回はもう一つの開口部ではある玄関ドアです。

玄関ドアの断熱性能

なかなか発売されなかった高断熱玄関ドア

樹脂窓がある程度普及してきましたが、玄関に関しては、なかなか「高断熱」の玄関ドアが建材メーカーから発売されませんでした。家自体の断熱性能を上げて、リビング空間が快適になっても、玄関の断熱性能が落ちると廊下が寒くなり、ヒートショックの原因になります。ピースホームでは、各建材メーカーさんに、「高断熱の玄関ドアを作ってください」とお話しておりました。

2016年1月にY社がニュースリリースで熱貫流率(U値)0.93から1.55W/(㎡・K)のドアの発売を発表しました。
https://www.ykkap.co.jp/company/jp/info/news/2016/20160126-2.html
ピースホームにとっては待望の高断熱玄関ドアで、すぐにメーカーの弊社担当者に連絡をとり説明を伺ったのを今でもよく覚えています。確かに価格は高いですが、社内検討の結果、すぐにピースホームでは標準仕様に採用しました(この年、Y社のこの高断熱玄関ドア採用本数が全国でトップ10に入りました)。

一般的な玄関ドアのU値が4.65~4.07ですので断熱性能の飛躍的な向上です。ちなみに壁のU値は0.4程度、なんと壁の10倍。リビングとの温度差が軽減されるのと同時に住まいから逃げる熱や入りこむ冷気(冬の場合で夏は反対)を大幅に減らすことができ冷暖房費の節約になります。

玄関の断熱も必要

ピースホームでは床暖熱工法を採用しています。そこで、玄関の断熱性能を上げるために、玄関部分の「基礎の壁面」にしっかり断熱を入れます。

玄関の断熱も必要

コンクリートの熱伝導率は1.6W/m.Kなので、寒さも熱さもすぐに伝わってしまいます。

実は玄関の断熱をされているところは今でも少ないです。長い時間いるところではないので、気にされる方がまだ少ないですが、リビングの断熱性や気密性が上がると温度差をすごく感じるところです。もちろん、ヒートショックの原因になります。

同じ理由でお風呂場も寒くなります。基礎からの断熱がされてないからです。
そこで、在来の浴槽からユニットバスに変更するリフォームをされる方が多いです。お風呂のリフォームは基礎からの断熱も重要ですが、前号をご覧になっている方は、このリフォームで『窓』を高性能なものに変えるとかなり快適な浴槽になることをご理解いただけると思います。

キッチン横の勝手口も検討を!

話はちょっと横道にそれますが、出入りするという意味では、キッチン横の勝手口も気をつけないといけません。この勝手口を土間にされるところもありますので、十分な断熱を考える必要があります。通風ドアをご希望される方もありますが、通風ドアは閉めてもどうしても断熱性能が悪いです。次号の「換気」でもお話ししますが、通風がここちよい時期(但馬の場合は5月と10月ぐらいといわれます)なども考慮して必要性を検討されることをおすすめしています。
台所仕事をしていて、キッチンが寒いという場合はこのあたりも原因になっています。

キッチン横の痛風ドア
※写真YKK AP株式会社からの転載

家はもちろん外気に接する面の断熱が大事です

家はもちろん外周の断熱が大事です
快適な住空間をつくるには、家の外周を隙間なく断熱材で包むことがもちろん大切です。数年前の住宅会社の広告には「外断熱」など断熱工法についてたくさん記載されていました。その頃は外断熱や充填断熱の議論が色々ありましたが、「断熱」は今や当たり前です。適材適所にしっかり断熱することが大事です。北海道など寒い地域では、充填断熱だけでは十分な断熱効果が得られないので、以前から外断熱(外張り断熱)の施工を行っていました。ささらに玄関ポーチの部分に「風除室」を設けているケースがけっこうあります。しっかり断熱している家だからこそ、玄関からの冷気の侵入を意識している例と言えるかもしれません。
断熱の話は、まだまだありますが、このあたりにします。

北海道の住宅 玄関

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季節問わず快適な住空間のためには『窓』が大切です

結露する窓
再開したのに、なかなか第2号が出ないじゃんと思われていたと思います。
巷の多くのブログ記事が5号までで終わるそうですから、後3号を油断せずに書きます。

もちろん、それ以上に続けるつもりですが・・・

アドバイスをいただいている方には、とにかく、「お気楽に」と言われているのですが・・・なかなか「お気楽」には書けないタイプなんです。

樹脂の熱伝導率は熱を伝えやすいアルミに比べて約1000分の1

簡単にいうと樹脂1mm(ミリ)厚の窓枠と1m(メートル)厚の窓が同じ熱の伝わり方ということになります。それほどアルミは断熱という点では劣っています。鍋の取っ手が樹脂で作られていることを引き合いによく説明されます。

アルミ鍋

なのに、なぜアルミ製の窓がいまだに多いのかは、色々な要素があり簡単には説明できないです。ただ、日本の場合は、一般住宅では木製枠+ガラスの窓時代があり、そのあとメンテナンス性に優れたアルミ枠の窓が登場しました。窓先進国と言われるヨーロッパに比べ日本は降水量が多く、雨への耐久性などもあり、一気にアルミ枠の窓が普及し定着したと思われます。

日本は、『窓』後進国と言われていますが、一般の方は後進国といわれていることをあまりご存じではないです。

主要国の樹脂窓普及率を比較すると下図のようになります。日本は17%で、同じアジアの国である中国(30%)や韓国(80%)よりもかなり低いです。それでも10年前の3倍です。普及し始めているともいえます。

樹脂窓普及率

世界地図

※共通の統計データではないですが、2017年の状況です。

ピースホームでは、2011(H23)年に樹脂窓の採用を検討し、2013(25)年から本格的に導入を始めました。2014(26)年からピースホームは標準仕様です。ピースホームでは早くから高性能住宅に取り組んでおり、現在のZEH(ゼロエネルギー住宅)の取り組みでは、ZEHビルダーとして5つ星(https://bit.ly/2oS4aAH)を取得しています(一般社団法人環境共創イニシアチブ:https://sii.or.jp/)。

2011年当時、樹脂窓を採用することにより、冷暖房のランニングコストがダウンすることが分かっていましたが、実際にどれほど変わるかという試算はあまり正確なものではなかったように思います。今では、色々な試算が行われており、樹脂窓にすることにより、一般家庭で30%程度コストダウンするといわれています。

一般的にアルミサッシ(窓)と樹脂サッシュ(窓)を比較すると次のよう表になります。

アルミサッシ(窓) 樹脂サッシ(窓)
素 材 アルミニウム 塩化ビニール樹脂など
重さ 軽い 商品のよっては重い
厚み 薄い 厚みが必要
コスト 安い 高め
耐久性 高い アルミにくらべると低い
耐火性 高い 低め(耐火窓もあり)
デザイン 豊富 少なめ
断熱性 低い 高い
結 露 発生しやすい 発生しにくい
カラーバリエーション 少なめ 豊富

樹脂窓でわずか10万円のちがい

ピースホームは樹脂窓が標準仕様ですが、40坪の一般的な間取りで、アルミ窓と比較すると約10万円の違いです。確かにコスト高となりますが、上記のランニングコストを考えると数年で元をとることになります。

快適性を求めるなら樹脂窓は外せない。

ピースホームは樹脂窓が標準仕様ですが、40坪の一般的な間取りで、アルミ窓と比較すると約10万円の違いです。確かにコスト高となりますが、上記のランニングコストを考えると数年で元をとることになります。

外気の暑さや冷気は窓からやってくる。

1992年の省エネ基準で建てられた住宅の場合、夏は窓から約70%の熱が侵入し、冬は窓から約50%弱の暖気が逃げていきます。

「断熱」と聞くと、「充填断熱」や「外張断熱」などの断熱工法をよく目にされ、壁も気になります。断熱の性能は熱貫流率(U値:単位:W/㎡K))という数値で低い値のほうが高性能です。

一般的な普通に断熱した壁で0.5です。
一般的に販売されている窓で、1.31(樹脂サッシ+Low-Eペアガラス)~2.33(アルミ樹脂複合サッシ+Low-Eペアガラス)~6.51(アルミサッシ+シングルガラス)です。良く普及しているアルミサッシ+ペアガラスガラスが、4.6です。
壁と窓の性能と比べると。桁違いということがわかります。だから窓の性能が重要なのです。

参考:住宅の省エネルギー基準:一般社団法人 日本サステナブル建築協会発行
http://www.jsbc.or.jp/materials/guide.pdf

話が長―くなるので、気密性能などのお話しも合わせてすべきところなのですが、第2号はこのあたりで続きは次号か弊社にお越しください。

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『ピースホームのブログ再開です!!』

えっ?!再開?

「Blogってありました?」とツッコミをされそうですが・・・
ずいぶん前に、ちょっとだけブログを投稿していた時期がありました。
内容をご記憶の方は、かなりのピースホーム通です(笑)。

今回、再開にチャレンジします。

というのも、完成見学会などにお越しいただくお客様などに、
お話した内容を『もっとブログなんかで書いたあった方がよいのに・・・』
と言われたりすることが多くなったのも一つのきっかけです。

お子様のいらっしゃるご家庭では、やっと夏休みも終わり、通常の生活に戻られたことと思いますが、

再開、第一号の記事はというと

小学6年生の夏休みの宿題についてです。

我が家の奥様の「それはパパに聞いてみるといいよ」という言葉で・・・
こどもがプリント見せにやってきました。

『夏を涼しく過ごすためにした工夫』

『窓を閉めた状態と片側だけ窓開けた状態と2つ窓を開けた状態で体感がどう変わるか?』

といった内容です。

まず、こどもの一言、

『うちって24時間エアコンつけっぱなしだけど・・・窓開けてないし...それっていいことなの・・・・』

これって、高気密高断熱のZEH住宅などを造っているパパとしては

回答するにはなかなか深ーい問題

『まずうちの家は断熱性能が高くて、夏の太陽の熱を防ぐには南面の庇がどうたらこうたら・・・室温も大事だけど湿度も大事で~・・・・』

大人に説明するのも難しいのに、小6にどう説明するか?考えさせられました。

今年のように高温多湿の夏は、エアコンを使わないと快適かつ健康的に過ごすのがなかなか難しいです。

室内が暑くなる一番の原因は、皆さんご存知のように窓からです。

「夏に暑いのが心配で南面の窓をやめて東面の窓にしようと思ってます」というお客様もいらっしゃいます。

実は、太陽は季節によって動きが違います。
中学生の3年生で習うそうなので、皆さんもぼんやり覚えていらっしゃると思います。

壁面としての太陽の可照時間は、

夏至:東面・西面の方が南面より長く
冬至:南面の方が東面・西面より長く

なります!

もちろん、日照による受熱量も東面、西面が大きくなります。
 夏至:水平面>東・西面>南面>北面

西日を気にされるお客様はいらっしゃいますが、午前中の東面の日照による受熱量も同様です。
 東面・西面に大きな窓をとると、夏に暑くなります!南面の庇ないの大きな窓も強烈です。

家の向きと窓の配置とその性能は、季節を通して過ごしやすく暮らすには大変重要な問題です。

『夏を涼しく過ごすためにした工夫』

は、どんな性能の家にお住まいかで、工夫の仕方が大きく変わります。光熱費も大きく変わります・・・

今回は、このあたりで失礼します。