新入社員が聞いてみた!家づくりの素朴な疑問【7選】その7
このブログは、ピースホームのYouTubeで公開している内容の補足版です。
新入社員が先輩に素朴な疑問を聞いている動画ですが、答え切れなかった内容や、補足したいことをブログの記事にしていこうと思います。新入社員の疑問ということで、これから家づくりを考えている方にも「気になる疑問」になると思います。
家づくりは「ワクワク」と「ドキドキ」がつまった体験ですが、不安の「ドキドキ」を減らし、楽しい「ドキドキ」が増えるような家づくりの参考になれば幸いです。
疑問その7:南向きの窓が大きいと部屋が暑くならないか
知っておきたい「日射遮蔽」と「日射取得」の基本
「南向きに大きな窓を付けたいけど、最近の夏は異常に暑いし…
やっぱり暑くなるんじゃないかな?」
家づくりを検討していると、こんな疑問を持つ方は非常に多いはずです。インスタグラムやPinterestで見かけるおしゃれなリビングには、床から天井まで届くような大きな南向きの窓が印象的に写っています。でも、あれって夏に蒸し風呂にならないの?――実はこれ、住宅設計の「正解」を知っているかどうかで、まったく結果が変わってきます。今回は、「南向きの大きな窓は本当に夏でも快適なのか」というテーマを、専門的な観点から詳しく掘り下げてご紹介します。
南向きの大きな窓=暑いは「誤解」だった
「最近の夏は非常に暑くて長い。大きな窓があったら室内が灼熱になるのでは?」と感じるのは、感覚的にとても自然なことです。しかし、実は、「南向きの大きな窓は、正しく設計すれば夏でも暑くならない」 です。
そのカギとなるのが、窓の上部に設けられたひさし(庇/ヒサシ)」や軒の出の存在です。
「夏の太陽は、夏至前後の正午にほぼ真上に近い高い角度を通ります。適切な出幅のヒサシがあれば、その日差しが窓ガラスに直接当たらず、窓面が影になります。結果として、室内への熱の侵入が大幅に抑えられるのです。」
つまり、暑い季節の太陽エネルギーはほとんど屋根面に当たるため、南面の窓への直達日射は遮られます。夏が暑いというイメージが先行しがちですが、パッシブ設計(自然エネルギーを活用する設計手法)の観点では、南向き大窓は「夏に暑い窓」ではなく「夏も快適な窓」になり得るのです。

ヒサシの役割――夏と冬で真逆の働きをする
ヒサシの効果は夏の遮蔽だけではありません。冬は逆に、太陽の恩恵をしっかり室内に取り込む役割も果たします。
冬の太陽は夏至と比べて大幅に低い軌道を通ります。そのため、ヒサシがあっても太陽光はヒサシをくぐり抜けて南面の窓から室内へ差し込んできます。これを「日射取得(ニッシャシュトク)」と呼び、太陽熱を暖房エネルギーとして活用できる、非常に優れたパッシブ設計のアプローチです。

太陽高度が高く、軒の出で太陽が遮られている様子

太陽高度が低く、日差しが室内奥まで届いている様子
この「夏に遮り、冬に取り込む」という二刀流の設計こそが、南向き大窓の真の魅力です。追加のエネルギーを使わずに夏の冷房負荷を下げ、冬の暖房負荷も下げられるため、光熱費の削減にも直結します。この「夏に遮り、冬に取り込む」という二刀流の設計こそが、南向き大窓の真の魅力です。追加のエネルギーを使わずに夏の冷房負荷を下げ、冬の暖房負荷も下げられるため、光熱費の削減にも直結します。
東・西の窓はどう考えるべきか
多くの方が「西日はきついから西の窓は小さくしたい」と考えます。確かに西日はつらく感じますが、実は太陽の熱量という観点では、東の窓も西の窓もまったく同じ量の熱が入ってくるのです。
では、なぜ西日の方が暑く「感じる」のでしょうか?
⇒「朝は夜中に冷えた状態から朝日が入ってくるので、周囲が涼しい中に熱が来ている状態です。でも西日は、日本中が暑くなりきった午後遅い時間帯に差し込んでくるので、より強烈に感じるのです。熱量は同じでも、体感が全然違う。」
この点を踏まえると、東の窓も設計段階から慎重に考えるべきだということが分かります。「朝日が気持ちいいから東を大きくしよう」と安易に決めると、夏の朝に予想以上の熱が入り込んでくることになります。
⇒ 補足アドバイス: 東・西面の窓には、南面のヒサシのような単純な遮蔽が効きにくい(太陽が横から差し込むため)という特性があります。対策としては、「外付けブラインドやルーバー、シェード」などの日射遮蔽装置(ニッシャシャヘイソウチ)を設置することが有効です。また、窓サイズ自体をコンパクトにまとめるか、高性能なLow-Eガラスを採用することで、熱の侵入を最小限に抑えることができます。
高性能窓「トリプルガラス・オール樹脂サッシ」が大前提
南向き大窓を最大限に活かすためには、窓そのものの断熱性能が大前提になります。ピースホームではトリプルガラス・オール樹脂サッシを標準採用しています。
従来の住宅で広く使われてきたアルミサッシは、軽量で耐久性が高い反面、熱を非常に伝えやすい素材です。アルミの熱伝導率は樹脂の約1,000倍とも言われており、冬は窓枠が冷え切って室内の暖気を外に逃がし、夏は外の熱を室内に伝えてしまうという大きなデメリットがあります。
これに対し、オール樹脂サッシは室内側・室外側ともに樹脂素材で構成されているため、熱をほとんど伝えません。さらにトリプルガラス(3枚のガラスで構成)を組み合わせることで、断熱性能は飛躍的に向上します。
具体的なメリットをまとめると以下の通りです。
| 性能項目 | アルミサッシ+複層ガラス | オール樹脂サッシ+トリプルガラス |
| 断熱性能(熱貫流率) | 低い(熱が逃げやすい) | 高い(熱が逃げにくい) |
| 結露リスク | 高い(枠が冷えやすい) | 低い(枠が冷えにくい) |
| 冬の窓際の冷気 | 感じやすい | ほとんど感じない |
| 夏の窓際の熱気 | 感じやすい | 大幅に抑制される |
| 防音性能 | 普通 | 高い |
実際のお住まいの方からも「冬場でも窓の近くに行っても冷気を感じない。もちろん夏も暑くならない」と実感いただいており、オール樹脂サッシ+トリプルガラスは現代の高性能住宅において必須のスペックと言えるでしょう。
YKK APの「APW 430」やLIXILの「TW」シリーズなど、国内メーカーからも優れたトリプルガラス樹脂窓製品が揃っており、「日射取得型」と「日射遮蔽型」など、窓の向きや用途に応じたガラス選択も可能です。
まとめ
今回は、「南向きの大きな窓は夏に暑くならないか」 というテーマを中心に、住宅設計における日射遮蔽・日射取得の考え方と、高性能窓の重要性、そしてSNSで見かけるおしゃれな造作の実現可能性についてまとめました。
重要ポイント
- 南向きの大きな窓は、適切なヒサシ(軒・庇)があれば夏でも暑くならない。夏至前後の太陽は高い軌道を通るため、ヒサシが日射を遮蔽してくれる。
- 冬は逆に、低い太陽がヒサシをくぐり抜けて室内に差し込む。 日射取得により、暖房エネルギーを自然の力で補うことができる。
- 東・西の窓は熱量が同じ。 西日だけでなく東の窓も設計段階から慎重に検討する必要がある。
- トリプルガラス・オール樹脂サッシは高性能住宅の必須スペック。窓の断熱性能が高いことで、夏も冬も窓際の不快感がなくなり、冷暖房費の削減にも直結する。
南向きの大きな窓ひとつとっても、ヒサシの出幅・窓の性能・東西の窓とのバランスなど、専門的な知識と経験が必要な判断が積み重なっています。だからこそ、早い段階から信頼できる設計士・住宅会社に相談し、資金計画と設計の両輪をしっかりと回していくことが、理想の家を実現するための最も確実な方法と言えるでしょう。
> 「南向きの窓が大きくて明るいリビング、夏も冬も快適で、しかもおしゃれ」――それは決して夢ではなく、正しい設計と高性能な素材の選択によって、十分に実現可能な家づくりです。
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